中学受験と地頭
頭がいい子とは、どうような子を言うのでしょうか?
その1つ要素として地頭が良いということが挙げられると思います。
「コトバンク」によると、「地頭」とは、「大学などでの教育で与えられたのでない、その人本来の頭のよさ。一般に知識の多寡でなく、論理的思考力やコミュニケーション能力などをいう。」とされております。
ここでは、中学受験における地頭の良い悪い影響を考えていきたいと思います。
中学受験に限ったことではありませんが、算数、国語、英語に限らず試験は、問題の出題者との文面によるコミュニケーションと捉えることができると思っています。
どういうことかと言うと、試験には常に出題者が意図した解答があり、受験者側は出題者が答えてほしいことを答えることで点数が積み上がっていきます。
すなわち受験者が答えたいことを答えるのではなく、設問に沿って解答を導き出していくということを考えると、「試験は出題者とのコミュニケーション」と捉えることもできるかと考えております。
「試験の出題者とのコミュニケーション」をうまくできるかどうかについては、地頭が大きく影響するものと考えております。
ペーパーテストでは、設問を読んで解答するということを繰り返すため、設問者の意図をいかに早く正確に把握できるかが、非常に重要となります。
このため地頭は、勉強ができるかどうかで、非常に重要となります。
父丸の同期で、御三家出身の非常に優秀な人がいます。その御三家出身の子はあまり努力をするタイプではないのですが、仕事でも非常に優秀ですぐにお客さんの求めている質問に対して意図を汲んで答えていました。
また公認会計士の試験もそれほど勉強せず受かったようで、ある時父丸が「なんでそんな勉強していないのに、試験で点数を取れるの?」と聞いたことがあります。
その時に回答が、「試験は設問を読めば、設問者がこうやって答えてというのが予想できるから、その通りに答えれば簡単だよ」と言っていました。
まさに地頭が非常に良い人の典型だと思いました。
父丸の優秀な同期のように誰もが、設問者の意図を汲み取ることができれば全員が試験に困らないのですが、現実はそういうわけにはいきません。
では、中学受験では地頭がどの程度影響するのでしょうか?
中学受験は地頭が良い悪いがすべて!?
上記の父丸の同期のように、地頭が良いということは中学受験においては、間違いなく大きなアドバンテージになります。
では地頭が良くない子は、中学受験(中学受験に限らないですが)において結果を残せないのでしょうか。
時折、成績の良し悪しは地頭がすべてと主張する東大、京大等の高学歴の方がいらっしゃいます。
確かに中学受験に限らず個人の能力として地頭が良い人が、試験で成績トップクラスを占めており、凡人がどれだけ努力したところで、勝つことは難しいというのは残念ながら現実としてあります。地頭がいい人は、知識に対する好奇心が溢れている人が多く、凡人とは異なり勉強を楽しんでやっている人がほとんどです。
しかし地頭ですべて決まるかというとそうではないのでは考えています。地頭の良し悪しで理解のスピードに差があったとしても、地頭が良くない子でも確実に力をつけることができます。
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ましてや、自分の子供であれば地頭が良くないから諦めようというような、もともとの能力だけをもって子供の人生を決めさせるわけにはいきません。
ただし、ここで注意したいのが以下の地頭の良い子と地頭の悪い子ではアプローチを変えなければならないということです。
地頭の良い子の特徴として以下があります。
地頭の良い子
①論理的な思考力が相対的に高い
②何を問われているかを把握するスピードが速い
③設問に応じて臨機応変対応できる
④勉強を苦だと思っていない
⑤知的好奇心が相対的に高い
上記のように、地頭の良い子は、知的好奇心が高く意識せずとも「なんでそうなるの?」を繰り返すことができます。このため、自然と勉強ができる素地を持っており、また要領がいいため、瞬時に設問者から何を問われているかを理解することができ、その結果設問にも適切に答えることができます。
一方で、地頭の悪い子の特徴は以下の通りです。
地頭の悪い子
①暗記力に頼りがちで論理的に考えることが苦手
②素直なため文面通りしかとらえることができず、物事の本質を見抜けない
③相手が何を求めているか把握できていない
④勉強を苦だと思っている
⑤知的好奇心が相対的に低い
地頭の悪い子の特徴としては、上記のようなものが挙げられますが、中学受験に限りませんが、勉強をするうえですぐに暗記に入ろうとするところだと思っています。
思考が暗記に移ってしまうと、物事を理解することをやめてしまい、論理的に考えることをしなくなってしまいます。
その結果、応用問題といった難しい問題に対する対応ができず、地頭の良い子との差を埋めることが難しくなってきます。
なお地頭の悪い子であっても、論理的な思考を鍛えることはできますし、地頭自身を育てていくことは可能と考えています。
但しここで留意が必要となります。地頭が良い子と悪い子では、理解するスピード、その過程が全く違うということです。
皆様の中にも、例えば「東大生が教える○○な勉強法」みたいな著書を読んで真似してやってみたけど、うまくいかなかったという経験をお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。
かくいう父丸も賢い人のやり方を真似すれば、自分も賢くなれるという幻想を抱いて、いくつかそういう本を読んで実践しましたが、うまくいきませんでした。
なぜ、うまくいかないのか!?
その理由は単純で、思考には段階があって、初めから「1説明すれば10を理解できると地頭の良い人と、10説明しても5しか理解できない地頭の悪い人」といったように、人は多種多様であり「1説明すれば10を理解できる」ような地頭の良いタイプの人のやり方を「10説明しても5しか理解できない」地頭の悪い人が真似してもうまくいかないのは当たり前です。
もちろん、「東大生が教える○○な勉強法」みたいな著書の中にも参考になる部分はありますが、やはり全てが全て自分にあてはまるかというとそうではないのです。
このため、地頭が良い人と地頭が悪い人(あるいは地頭が良くない人)では、勉強するにあたって、アプローチを変えないといけません。
私の上司で東大出身の大変地頭の良い方がいました。その方も、お客さんからのご質問に対して常に的確に回答を行っており、その能力は尊敬に値するのですが、こと人にものを教えるとなると、てんでダメでした。時折言われたのが、会計論点等で相談していると
「なぜ、理解できないのかがわからない」
このセリフ私だけなく、複数の部下が同じことを言われたと聞いているので、私だけの問題ではないと信じたいのですが…。
ここでの問題点は、地頭が良い人に起こりがちなことなのだと思うのですが、理解までの過程が早すぎて、凡人がなぜ理解できないかを理解できないということです。
上記のような現象は親御さんがお子様に教えるうえでも多かれ少なかれ発生している可能性があります。
小学生と大人でも知識に対する格差があり、その格差を意識し続けて教えないと溝は埋まりません。
この「なぜ、理解できないのかがわからない」ということが、地頭の良い人の欠点だと思っています。
しかし、逆にいうとその溝さえ埋めてしまえば、地頭が良かろうが、悪かろうが、かかる時間は違えど、同じ土俵に持っていくことは可能なのではと考えています
「【中学受験】偏差値UPに裏技はある!?家庭のフォローだけで半年で偏差値30を上げた方法①」に記載の通り、我が家の中学受験担当者である姉丸は、間違いなく地頭が悪いほうなのだと思っています。
ただ当記事にも記載の通り地頭が悪い子であっても地頭が悪いが正しい道を通れば、必ず道は開けると父丸は考えています。
ましてや成長段階のお子さんの能力を小学生時点で決めてしまうのは、あまりにもったないので気長にやっていく心も必要かと考えています。